厚生労働省は19日、福島県産の原乳、茨城県産のホウレンソウから、食品衛生法に基づく暫定規制値を上回る放射性物質が検出されたと発表した。
茨城県は、県内全域のホウレンソウ、福島県は福島第1原発から30キロ圏内のすべての農産物について、それぞれを出荷を自粛するよう農協や生産者に要請した。
大塚耕平厚労副大臣は記者会見で「直ちに健康に影響を与えるものではない。冷静に対応をしてもらいたい」と呼び掛けた。
同省は17日に、同原発の事故を受け、原子力安全委員会が示した指標を暫定規制値として設け、この数値を上回る食品が流通しないよう自治体に通知した。
福島県が通知を基に抽出検査を実施した結果、川俣町の酪農家が16〜18日に生産した原乳から、最高で規制値の5倍を超える1キログラム当たり1510ベクレルの放射性ヨウ素が検出された。同県は、同町内の全酪農家13軒に原乳の出荷と自家消費の自粛を要請した。
那須塩原で酪農を営む
友人・前田匡彦から悲痛なメッセージが届けられました。
今回検出された放射性物質が何だったのか?
それについて彼の言葉を借りつつ説明させてもらいます。
今回発表があった物は放射性ヨウ素-131。
特にヨウ素−131(半減期8.06日)、ヨウ素−133(半減期20.8時間)は、ウランの核分裂によって生成されます。
従って、原子力発電所の事故では、最も注目される放射性核種という事になるようです。
史上最大の放射事故であるチェルノブイの原発事故では、白血病など、多くのがんが増えるのではないかと危惧されましたが、実際に増加が報告されたのは、小児の甲状腺がんだけでした。なお、米国のスリーマイル島の事故では、がんの増加は報告されていません。
放射性ヨウ素は、甲状腺に取り込まれます。これは、甲状腺が、甲状腺ホルモンを作るための材料がヨウ素だからです。なお、普通のヨウ素も放射性ヨウ素も、人体にとっては全く区別はつきません。物質の性質は、放射線性であろうとなかろうと同じだからです。
ヨウ素(I2)は水に溶けやすい分子です。原発事故で大気中に散布されたヨウ素は、雨に溶けて地中にしみ込みます。これを牧草地の草が吸い取り、牛がそれを食べるという食物連鎖で、放射性ヨウ素が濃縮されていったのです。結果、野菜より牛乳が問題なのです。
子供たちは、大人よりミルクを飲みますし、放射線による発がんが起こりやすい傾向があるため、小児の甲状腺がんがチェルノブイリで増えたのでしょう。ただし、I-131の半減期は約8日です。長期間、放射性ヨウ素を含む牛乳のことを心配する必要はありません。
I-131は、ベータ線を出しながら、“キセノン”に変わっていきます。(ベータ崩壊)8日が半減期ですから、I-131の量は8日で半分、1ヶ月で1/16と減っていきます。3ヶ月もすると、ほぼゼロになってしまいますから、「牛乳問題」も“期間限定”です。
このような事を踏まえた結果、今現在、放射性物質を含む農作物が問題になっているんです。
確かに摂取の時期、方法によっては人体に影響が出る可能性があります。
しかしすでに福島・茨城の農作物に関して一部出荷を自粛しています。
そしてこれから様々な農作物も検査をし、それ相応の対応になるでしょう。
とにかく期間が重要という事を分かってください。
そして正確な情報を得て判断していただきたい。
いつまで酪農が続けていられるかという瀬戸際です。
被災地ではすでに酪農を放棄せざるを得ない農家が牛の引き取り先を必死に探しています。
中には避難指示が出て、やむなく牛をそのまま置いてきた方もいるでしょう。
そして、前田はこう続けました。
『食べない飲まないの判断を否定はしません。
ただいつか戻ってきてください。
『俺達は精一杯の愛情で作って皆さんを待ってますから』
心打たれます。
前田がんばろうな!!
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